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2010/6/2

経済産業情報

燃料電池車普及にインフラ投資30億ユーロが必要

この記事の要約

燃料電池車(FCV)の実用化・量産化に向けた研究開発が進むなか、水素燃料を供給するステーション網の整備が大きな課題となっている。ヘッセン州燃料電池イニシアチブ(H2BZ)の試算よると、FCVの普及にはドイツ全国で3,00 […]

燃料電池車(FCV)の実用化・量産化に向けた研究開発が進むなか、水素燃料を供給するステーション網の整備が大きな課題となっている。ヘッセン州燃料電池イニシアチブ(H2BZ)の試算よると、FCVの普及にはドイツ全国で3,000カ所の水素ステーションが必要になる。ステーションはガソリンスタンド併設型で1カ所当たり1億ユーロの建設費がかかるため、全国レベルでインフラを整備すると投資総額は30億ユーロに達するという。『フランクフルター・アルゲマイネ』が5月29日報じた。

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FCVは電気自動車(EV)と並ぶ環境対応車の有力候補で、電気自動車に比べて航続距離が長い、充填時間が短いなどのメリットがある。各メーカーとも開発にしのぎを削っており、オペルの「Hydrogen 4」やトヨタの「FCHV」は1回の水素充填での航続距離が300キロメートルを超え実用に耐えるレベルに達している。また、安全性も向上しており、100台のHydrogen 4で試験走行を進めるオペルの関係者は「最初の1年で何らかの故障トラブルがあったのは17日間だけだった」と話す。

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FCV普及の大きなカギとなるのは水素充填ステーションの整備だ。ドイツには現在、約30カ所あるが、そのほとんどは自動車メーカーや研究機関の敷地内にあり、墺石油大手OMVによると一般でも利用できる施設は6カ所に過ぎない。

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長期的性能や耐久性の面で未知数の部分が多いのもFCVのマイナス要因で、ゼネラルモーターズ(GM)の欧州FCV戦略プロジェクトを統括するラルス・ペーター・ティーゼン氏は「FCV事業で利益が出せるようになるのは早くても2015年以降」との見方を示した。

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