独与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)の3党は3日、次期大統領候補にニーダーザクセン州のクリスチャン・ヴルフ首相(CDU、50歳)を擁立することで合意した。野党も対抗候補を打ち立てるものの、大統領選出集会(Bundesversammlung)で与党が過半数票を握っているため、ヴルフ氏が30日の同集会で第10代大統領に選出されるのはほぼ確実とみられる。
\ドイツでは1日、ケーラー大統領が野党の批判を理由に即日付で辞任したため、現在は大統領不在の異常な事態となっている。与党はこれを受け候補者の選定を開始。当初は国民の人気が高い女性政治家のウルズラ・フォンデアライエン連邦労働相(CDU)が有力視されていたが、CDUの保守派から異論が出たため実現しなかったという。
\野党の社会民主党(SPD)と緑の党は、旧東ドイツ(DDR)の市民運動家でメルケル連邦首相(CDU)とも親しいヨアヒム・ガウク氏を擁立する方針を決定。SPDのガブリエル党首とシュタインマイヤー院内総務はメルケル首相にSMS(携帯電話のショートメッセージサービス)を送り、与野党の共同候補にすることを提案したが、返信は「情報ありがとう」というそっけないものだった。
\ヴルフ氏は2003年にニーダーザクセン州首相に選出され、現在は2期目。州内には自らが監査役を務める自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)があり、昨年3月に訪日した際は、トヨタ自動車の渡辺捷昭社長に両社の提携を提案したもようだ。大統領就任後は社会の紐帯を強化し、厳しい経済情勢のなかで人々が先行きに期待を持てるようにすることが最大の課題だとしている。
\ヴルフ首相の後継者については州議会のダーフィット・マクアリスター院内総務(CDUニーダーザクセン州委員長)が最有力視されている。
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