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2010/6/16

総合 - ドイツ経済ニュース

「景気回復加速」を独商工会議所が宣言

この記事の要約

独商工会議所連合会(DIHK)は16日、会員企業2万2,000社を対象に4~5月に実施した「初夏アンケート調査」の結果を発表した。それによると、ドイツ経済は世界経済の回復とユーロ安を追い風に勢いを大幅に取り戻しており、ア […]

独商工会議所連合会(DIHK)は16日、会員企業2万2,000社を対象に4~5月に実施した「初夏アンケート調査」の結果を発表した。それによると、ドイツ経済は世界経済の回復とユーロ安を追い風に勢いを大幅に取り戻しており、アンケートでは事業の現状判断や今後の見通し、投資・雇用計画に関する全質問で肯定的な回答が否定的な回答を上回った。DIHKはこれを受け「景気回復は加速している」との見方を示した。ただ、専門家の間にはユーロ問題の影響で、ドイツ経済が今後減速するとの見方もある。

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事業の現状判断に関する企業の回答は「良い」が前回調査(2月)の24%から28%に増加し、昨年初夏以来4回連続で改善した。一方、「悪い」は24%から18%に減少。「良い」は09年年初以来初めて「悪い」を上回った。輸出が好調な製造業のほか、内需型の小売、サービス業でも過去の平均を大きく上回る良好な数値になったという。

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今後1年間の事業の見通しに関しては「良い」が前回の26%から33%に上昇し5回連続で改善。「悪い」(14%)を上回ったのも2回連続となった。製造業では「良い」と「悪い」の差が31ポインに達し、1977年の調査開始以来2番目に高い数値を記録している。内需型産業も明るさを増してきた。

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輸出見通しでは額が「増える」が43%に達し、「減る」の9%を大きく上回った。DIHKは世界経済のけん引車である新興市場の開発にドイツ企業が早期に取り組んだことが奏功したと結論づけている。

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こうした事情を反映し、投資額を「増やす」予定の企業は25%となり、経済危機の発生後初めて「減らす」(21%)を上回った。特に化学、医療機器、自動車で投資意欲が高いという。

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雇用を「増やす」(16%)は「減らす」(15%)を1ポイント上回った。景気回復は労働市場に波及しつつあり、DIHKは専門的な人材の不足が再び大きな問題になるとみている。

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一方、ハンブルク世界経済研究所(HWWI)は、ギリシャなどの財政破たん問題は金融危機が克服されていないことを露呈させたと指摘。欧州各国は今後、ユーロの安定化に向けて財政引き締めに取り組むためドイツ経済も第3四半期ごろから減速すると警戒を促している。

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今年の独国内総生産(GDP)成長率についてはDIHKが2.3%を予想するのに対し、HWWIは1.5%にとどめた。新興諸国を中心とする世界経済の回復、およびユーロ安というプラス材料と、財政再建というマイナス材料が今後の景気にどの程度作用するかが大きな焦点となりそうだ。

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