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2010/6/16

総合 - ドイツ経済ニュース

オペルへの融資保証を連邦政府が拒否

この記事の要約

ドイツのブリューデルレ連邦経済相(自由民主党=FDP)は9日、米GMの独子会社オペルが申請していた総額11億ユーロの融資保証申請を却下した。同日開かれた連邦政府傘下のドイツ経済基金・企業融資管理委員会で意見がまとまらなか […]

ドイツのブリューデルレ連邦経済相(自由民主党=FDP)は9日、米GMの独子会社オペルが申請していた総額11億ユーロの融資保証申請を却下した。同日開かれた連邦政府傘下のドイツ経済基金・企業融資管理委員会で意見がまとまらなかったため、経済相が自ら決定を下した。オペルは連邦政府の支援を期待できない状況となっており、今後はオペル工場のある独4州の協力を得て再建資金を確保する意向だ。

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GMはオペルと英ボクソールからなる欧州事業の再建に33億ユーロを確保する計画で、そのうち19億ユーロは自力で捻出し、残りは工場のあるドイツ、英国、スペインの公的融資保証で獲得するとしてきた。独政府の今回の決定を受け、州内にオペル工場を持つヘッセン、ノルトライン・ヴェストファーレン、ラインラント・ファルツ、チューリンゲンの独4州は今後、新たな支援の可能性を模索していく。GMはすでに欧州投資銀行(EIB)に融資を打診しており、4州がこれに公的保証を付ける可能性も出ている。

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ブリューデルレ連邦経済相がGMの公的保証申請を却下したのは◇GMは黒字転換を果たし十分な資金を持っている◇オペルの経営難は金融危機以前から続いており、ドイツ経済基金の支援条件を満たしていない――と判断したためで、同社への融資保証を認めれば公正な市場競争が阻害されると説明した。

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オペル支援をめぐっては連邦政府内に意見の対立がある。ブリューデルレ経済相が属するFDPは「小さな政府」を標榜しており、公的支援は最小限にとどめるべきとの立場。一方、メルケル連邦首相(キリスト教民主・社会同盟=CDU/CSU=)は何らかの形でオペルを支援したい考えだ。ただ、正式な手続きを経て決定した申請却下を覆すことは法的に難しいため、連邦による融資保証は断念した。与党間のいざこざがメルケル政権の求心力を弱めているという事情もあるため、新たな火種は作りたくないという思惑も働いたとみられる。

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