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2010/6/16

経済産業情報

太陽電池製造装置業界に再編近づく

この記事の要約

ドイツの太陽電池製造装置メーカーの多くが業界再編とアジアへの生産移管が今後進むと予想している。ヴィースバーデン・ビジネススクールが金融投資会社Ventizzの依頼を受け業界22社を対象に実施したアンケート調査で分かった。 […]

ドイツの太陽電池製造装置メーカーの多くが業界再編とアジアへの生産移管が今後進むと予想している。ヴィースバーデン・ビジネススクールが金融投資会社Ventizzの依頼を受け業界22社を対象に実施したアンケート調査で分かった。今後の成長のカギを握る分野については薄膜技術を挙げる企業が多かった。

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アンケートによると、メーカーの73%が業界再編を予測。59%は今後2年で再編が進むと回答した。ただ、41%はM&Aへの対応を検討しておらず、再編の際に後手に回る恐れがある。Ventizzのアナリストは、外国の投資家は独メーカーが持つ技術の獲得に関心が高いと述べ、再編に備えていない企業、特に中小企業は敗者になる恐れがあると指摘した。

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アジア市場については、業界企業の64%が過去12~18カ月の間に販売を強化したと回答。生産の一部を 同地に移管した企業も45%に上った。国外投資家の主導で業界再編が進めば、この傾向はさらに進み、大半の部品をアジアで生産するようになる可能性がある。工作機械業界ではそのような経過をたどった。

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また、企業の3分の1が国外事業や技術開発を強化するための資本力が足りないと回答するなど資金調達の難しさも明らかになった。過半数は銀行からの借り入れを容易にするために自己資本比率を引き上げることを計画。金融市場で資金を調達した企業も27%に上った。プライベートエクイティ・ファンドの出資については、過半数が効果は薄いと懐疑的だが、「投資家には出資を認める用意がある」との回答も20%あった。

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一方、新規受注は世界的な景気回復を背景に好調で、64%が今年第1四半期に規模が拡大したと回答した。前年同期に比べ50%以上増えた企業も14%と多い。今後の成長モーターとしては、73%が結晶シリコン以外の素材を使用する太陽電池の薄膜技術を、55%が薄膜多結晶シリコンモジュールを挙げた。

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