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2010/6/16

経済産業情報

公的健保の薬剤費支出膨らむ

この記事の要約

国内最大の公的健保組合Barmer/GEKはこのほど、2009年の薬剤費支出が約37億ユーロとなり、前年から6%増加したと発表した。特にがん、リューマチ、多発性硬化症向けの支出は最大で25%も膨らんでおり、止めどなく続く […]

国内最大の公的健保組合Barmer/GEKはこのほど、2009年の薬剤費支出が約37億ユーロとなり、前年から6%増加したと発表した。特にがん、リューマチ、多発性硬化症向けの支出は最大で25%も膨らんでおり、止めどなく続く支出増に危機感を募らせている。

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Barmer/GEKが850万人の被保険者のデータを基にまとめた「2010年度医薬品レポート」によると、薬剤費支出の上位20位を占める医薬品の支出額は7億ユーロで、全体の約20%に上った。上位20位にはがん、リューマチ、多発性硬化症の治療薬が多く含まれ、支出増加幅は12%~25%と全体の6%を大きく上回っている。

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Barmer/GEKは、スイスの製薬大手Novartisががん治療薬「Glivec」の販売価格を英国の1,800ユーロに対し、ドイツでは2,800ユーロに設定している例などを挙げ、メーカーへの不信感をあらわにした。同レポート作成者の1人である医療エコノミストのグラエスク氏は、◇公的健保はメーカー側と価格交渉できるが、適正価格の判断基準がない◇メーカー以外に医薬品の効果を調査する機関がない――といった問題点を指摘。医薬品の効果に関する調査を認可後も続け、費用対効果を継続的に査定する独立した機関が必要だと訴えた。

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同氏はまた、薬剤費支出を抑制する余地はあるとも述べ、後発医薬品の割合を81%から85%に増やすと約4億ユーロ節約できると指摘した。多くの医薬品の特許が2010~2011年にかけて切れる効果でも、29億ユーロの支出低下を見込めるという。

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