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2010/6/23

経済産業情報

スーパーの再編進展で食品メーカーが危機に

この記事の要約

ドイツで大手スーパーの力が強まり、食品メーカーが危機に立たされている。小売業界の再編が進んだ結果、大手のスーパーやディスカウントスーパーが数社に集約され、小売サイドの仕入れ交渉力が強化されたことが背景にある。小売業界の自 […]

ドイツで大手スーパーの力が強まり、食品メーカーが危機に立たされている。小売業界の再編が進んだ結果、大手のスーパーやディスカウントスーパーが数社に集約され、小売サイドの仕入れ交渉力が強化されたことが背景にある。小売業界の自社ブランド(PB)ブームで、メーカー・ブランドが脅かされていることも大きい。17日付『ヴェルト』紙が報じた。

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ドイツ経済研究所(DIW)傘下のコンサルタント企業DIW econが中小規模の食品メーカーを対象に実施した調査では、3分の2の企業が「小売1社との取引額が売上全体の22%を超える」と回答。メーカーが少数の大手小売業者に強く依存している実態が明らかになった。22%という数値は欧州連合(EU)で市場競争を阻害する危険水準とみなされている。「小売り2社との取引が全体の22%以上」との回答も3分の1に上った。ブランド品メーカーの経済団体である独ブランド連盟は、小売業界の再編が今後も進み食品メーカーのスーパー依存度がさらに強まると予想する。

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再編が進みスーパー間の競争が減少すると小売価格が上昇するため、最終的には消費者にもマイナスとなる。経済協力開発機構(OECD)によると、オーストラリアでは大手スーパーがWoolworthとColesの2社に集約された結果、小売価格が2000年からこれまでに41%も上昇したという。

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