欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/6/23

経済産業情報

コケ成分でナメクジの食害をブロック

この記事の要約

イエナ大学のゲオルク・ポーナート教授を中心とする研究チームは、カモジゴケ(Dicranum Scoparium)が害虫の食害を受けた際に、酸化脂肪酸の一種であるオキシリピン類を生成して防衛していることを突き止めた。今回の […]

イエナ大学のゲオルク・ポーナート教授を中心とする研究チームは、カモジゴケ(Dicranum Scoparium)が害虫の食害を受けた際に、酸化脂肪酸の一種であるオキシリピン類を生成して防衛していることを突き止めた。今回の発見が、植物由来で環境にやさしい害虫駆除剤の開発につながるものとチームは期待を寄せる。

\

植物は病害や食害を受けると、毒物質や忌避物質を作るなどしてさらなる食害を防ぐ防御機構を持つ。研究チームは、コケ類が他の植物に比べ、雑食性の強いナメクジの食害を受けにくいことに着目。菌(カビ)類の多くでオキシリピンが直接・間接に食害防御機構に関与していることから、コケ類でも同様にオキシリピンが関与しているとの仮定に立って研究を進めた。

\

欧州各地の森林に生息するカモジゴケというコケから成分を抽出・分析したところ、これまで知られていなかったタイプのオキシリピンが含まれていることが確認された。次に、抽出した物質を塗布した葉と塗布していない葉を用意し、スペインナメクジ(Arion vulgaris)がどちらを好んで食べるかを調べたところ、オキシリピン塗布の効果は絶大で、「抽出濃度から1,000倍に希釈したにもかかわらず」ほとんどすべてのナメクジが塗布されていない葉を選んだという。

\

今回の研究の成果は『Angewandte Chemie』に掲載された。

\