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2010/6/23

経済産業情報

「貯蓄銀CD機利用で競合締め出しは不当」=高裁

この記事の要約

現金自動払出機(キャッシュディスペンサー:CD)の利用拒否をめぐる係争でミュンヘン高等裁判所はこのほど、貯蓄銀行が自行のCD機を他行の顧客に利用できなくするのは違法だとの判決を示した(訴訟番号:U(K) 1607/10) […]

現金自動払出機(キャッシュディスペンサー:CD)の利用拒否をめぐる係争でミュンヘン高等裁判所はこのほど、貯蓄銀行が自行のCD機を他行の顧客に利用できなくするのは違法だとの判決を示した(訴訟番号:U(K) 1607/10)。貯蓄銀は国内で圧倒的な市場シェアを持っており、競合の顧客をCD機利用から締め出すことはカルテル法上の「不当な差別」に当たるとしている。訴えを起こしていたダイレクトバンク大手ING DiBaなどが18日、明らかにした。

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貯蓄銀行の多くは、自前のCD機をほとんど設置していないダイレクトバンクの顧客がVisaカードを使って貯蓄銀のCD機から預金を引き出すことを「インフラのただ乗り」として問題視し、これら顧客の利用を拒んでいる。インゴルシュタット貯蓄銀行はING Diba、Citibank(現Targobank)、Volkswagen Bankの発行したVisaカードでCD機の利用ができないようにしたことから、3行がこれを不当として提訴していた。

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1審のミュンヘン地方裁判所は2009年12月、「貯蓄銀行はインフラを競合に開放する義務はない」として、貯蓄銀側の言い分を認める判決を下した。これに対し2審のミュンヘン高裁は、貯蓄銀は国内で大きな市場シェアを持つと指摘したうえで、一部の競合にインフラ利用を認めないことは競争法上不当だとの判断を示した。ING Dibaによると、判決文が届いていないため、上告が認められているかは現時点では不明という。

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貯蓄銀行のCD機開放については司法判断が分かれているが、控訴審判決は今回が初めて。これまではすべて1審(地方裁判所)判決にとどまっていた。

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