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2010/7/7

経済産業情報

スポンサー活動で授業の質向上、企業イメージアップ効果も

この記事の要約

教育予算の削減で多くの学校が教材・備品購入費の確保に頭を痛めるなか、企業のスポンサリングを活用するケースが増えている。企業にとっても地域社会への貢献や将来の人材育成、企業のイメージアップにつながるなどのメリットがある。た […]

教育予算の削減で多くの学校が教材・備品購入費の確保に頭を痛めるなか、企業のスポンサリングを活用するケースが増えている。企業にとっても地域社会への貢献や将来の人材育成、企業のイメージアップにつながるなどのメリットがある。ただ、法令で制限されている広告活動との境界は明確ではなく、運用には注意も必要だ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が3日付で報じた。

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ドイツの公立校には資金や設備などを提供するスポンサーを持つことが認められている。一昔前までは「教育を売り物にする」という抵抗感から学校側は受け入れに消極的だったものの、「企業の支援なしに質の高い教育を実現することは不可能」との認識が広まり、急速に普及している。

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ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州ウナにあるペスタロッチ・ギムナジウム(生徒940人)は企業スポンサー制度を積極的に取り入れている学校の1つだ。生徒は化学の授業で企業の実験室を使えるほか、病院で医師や看護婦から応急手当の仕方も学べる。また、卒業前の生徒はIT企業の指導のもと、就職の応募書類の書き方や面接のポイントを教わることができる。

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同校のショアレマー校長によると、備品・教材費として州から配分される予算は年間5万ユーロ。生徒1人当たり50ユーロほどに過ぎず、企業の支援なしには「紙代やコピー代すら十分に賄えない」と現状を説明する。

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NRWのヴェアル市では、中堅企業9社が市内11校の児童・生徒、計220人の言語・コミュニケーション能力向上に向け支援を実施。資金を拠出するにとどまらず、保護者に積極的な関与を促している。中間調査によると、生徒の国語(ドイツ語)、英語、数学の成績(5段階評価)は以前に比べて最大で2段階向上したという。

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ドイツのほとんどの州では学校内での広告が禁止されており、資金を出す見かえりとして商品ポスターを掲示することはできない。一方、広告が認められている3州(ベルリン、ブレーメン、ザクセン・アンハルト)でも教育目的に沿うものという条件がつくため、実質的に大きな差はないという。

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