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2010/7/14

経済産業情報

ICE車両が灼熱地獄に、冷房故障相次ぐ

この記事の要約

すでに半月以上続く真夏日。季節感があって良いという当初の思いは「そろそろいい加減にしてくれ」という、うんざり感に変わりつつあるのではなかろうか。最高気温が毎日30度を超え、日によっては36度に達するのでは「ここは本当にド […]

すでに半月以上続く真夏日。季節感があって良いという当初の思いは「そろそろいい加減にしてくれ」という、うんざり感に変わりつつあるのではなかろうか。最高気温が毎日30度を超え、日によっては36度に達するのでは「ここは本当にドイツなのか」と愚痴を言いたくなる。週末は土曜日の早い時間に買い物を済ませ、あとは家の中でジッとしているしか手立てがない。アウトドア派である筆者の友人はこの2週間連続で週末のサイクリングを控えているほどだ。今年は2003年以来の記録的な猛暑になるかもしれない。

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さて、暑さと湿気が日本ほどひどくない欧州ではクーラーがあまり普及していない。あるいはそのせいで冷房技術が低いのだろうか、、、。ドイツ鉄道(DB)の長距離路線でこの週末、クーラーが故障し乗客が熱中症にかかる被害が相次いだ。

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最もひどい状況に遭遇したのは修学旅行の訪問先であるベルリンから故郷のノルトライン・ヴェストファーレン州ヴィルリヒに向かった聖ベルンハルト・ギムナジウムの生徒59人と引率教員5人である。

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生徒たちがマスコミに語ったところによると、乗車した高速鉄道ICEの空気は出発直後から熱く息苦しかったとのこと。これを受け、車掌は一等車の利用を認めたものの、ここでもすぐにクーラーが故障したため、この電車はハノーバー駅で運転取り止めとなった。

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駅で待つこと30分、生徒らは遅れて到着したケルン行きのICEに乗るよう指示された。だが、乗り込んでみると、この電車もすでに灼熱地獄状態であった。車内の温度はおよそ50度に達しており、頭痛や吐き気を訴える乗客が相次いだ。通路には貧血などで倒れた人々が横たわり、赤ん坊を連れた母親は新鮮な空気を得るため、緊急脱出用のハンマーで窓を割ろうとしたという。

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結局、この電車もビーレフェルト駅で運行止めとなり、妊婦を含む乗客27人が手当てを受けた。

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DBの発表によると、この日は計3本の列車が冷房故障で運行を中断し、約1,000人の乗客が被害を受けたという。だが、『シュピーゲル』誌は独自取材をもとに、冷房が故障した車両がこのほかに少なくとも数本あったと報道。コペンハーゲン発ベルリン行きのICEでは暑さで子供が嘔吐し、車内に異臭が漂っていたとの情報を伝えている。

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連邦警察は今回の事件を受け、過失傷害と救助不作為の容疑で捜査を開始した。連邦交通省は今後、DBや産業界などと協議し、故障が起こらないよう対策を検討する意向だ。

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