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2010/7/14

経済産業情報

鉄道貨物輸送、「環境にやさしい」とは言い切れず

この記事の要約

サステナビリティコンサルティング会社のPE Internationalはこのほど実施した調査をもとに、「鉄道はトラックよりも環境にやさしい輸送手段だ」という従来の考えは必ずしも当てはまらないとの見解を示した。貨物の種類や […]

サステナビリティコンサルティング会社のPE Internationalはこのほど実施した調査をもとに、「鉄道はトラックよりも環境にやさしい輸送手段だ」という従来の考えは必ずしも当てはまらないとの見解を示した。貨物の種類や輸送距離、列車の編成次第では、鉄道の排出する単位当たりの二酸化炭素(CO2)排出量がトラックに匹敵するとしている。

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PE Internationalは独自動車工業会(VDA)の委託を受けて調査を実施した。調査ではトラックと鉄道、水上の3種類の輸送手段を対象に、輸送にかかる燃料消費量とCO2排出量を試算。その際、メーカーのカタログ値ではなく、メーカーや専門誌が測定した実燃費をベースにして、走行距離や貨物の重量、種類など様々な条件を設定してシミュレーションを行った。

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それによると、バラ積み荷物(土砂、石炭、鉄くずなど)をシュツットガルトからロッテルダムに運ぶケースではトラック輸送のCO2排出量が河川・鉄道輸送を大きく上回るものの、コンテナによる小口貨物輸送ではトラックと鉄道にほとんど差がなかった。

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また、鉄道輸送は、20両以上の編成では回送運転なしなどの好条件がそろうと他の輸送手段に比べ環境負荷が低くなるものの、短い編成(10両以下)や回送距離が長い場合はトラック輸送のほうが優れている。

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PE Internationalの担当者は、「理想の輸送手段は存在しない。輸送する内容や距離に応じて最も環境負荷の低い手段を使い分けることが重要だ」と結論づけている。

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