ロシアにあるシーメンス技術開発研究所(CT Russia)が、アルミニウムに炭素の同素体であるC60フラーレン(以下、フラーレン)を添加した新たなアルミニウム・炭素複合素材を開発した。アルミとフラーレンの微細構造をアルゴン雰囲気中で細かく破壊、新たなナノ構造を生成することに成功した。従来のアルミ合金の3倍の硬度を持つと同時に、大幅な軽量化も実現したという。シーメンスは今回の成果がコンプレッサーやターボチャージャー、エンジンの性能改善に役立つと期待している。
\フラーレンは炭素原子60個がサッカーボール型に集まった分子で、安定した構造を持っている。CTの研究者は、重量比で1~1.5%のフラーレンを添加するだけで十分な硬度が得られると話す。
\CT Russiaはこのほか、ロシアの超硬・新炭素素材技術研究所(TISNCM)との共同研究で、カーボンナノ構造添加によるサーモエレクトリック素材の効率改善にも取り組んでいる。カーボンを添加することで熱伝導率が引き下げられ、発電効率を従来比で20%改善できたという。
\