オーストリアのバイオテクノロジー産業が急速に成長している。バイオ振興・支援策を背景に、ウィーンを中心にバイオ企業・研究機関の集積拠点(バイオクラスター)が形成。出資や提携に関心を示す国際的な製薬会社も増えており、英グラクソ・スミスクライン(GSK)はAffiris、Apeiron Biologicsなど墺バイオ4社に総額7億ユーロを投資した。7月27日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。
\バイオテクノロジーには産業向け、品種改良など様々な分野があるが、オーストリアでは特に医療向けバイオテクノロジー(レッド・バイオテクノロジー)に重点が置かれている。
\国内最大のバイオクラスターはウィーンだ。ウィーン大学付属バイオセンターとこれに隣接する研究施設では1,500人以上の専門家がバイオ研究に従事する。中心的な役割を演じているのは分子病理学研究所(IMP)や分子生物工学研究所(IMBA)で、建設費が7,000万ユーロに上ったIMBAは研究者の憧れの的になっているという。ウィーン以外ではオーバーエスターライヒ、シュタイヤーマルク、インスブルック、クレムスにバイオクラスターが形成されている。
\オーストリアでバイオ産業が発達したのは、研究振興機関のオーストリア経済サービス(AWS)や技術革新センター(ZIT)が長年にわたって振興に取り組んできたためだ。研究開発コストの125~135%が税控除の対象となることも大きい。また、バイオ関連企業が集積した結果、研究者の緊密なネットワークが生まれるとともにレベルの高い人材が集まり、新たな企業の誘致や投資につながっていることも見逃せない。
\ドイツ企業ではロストックのLabor Centogene(バイオ)がウィーンに拠点を置く。製薬大手ベーリンガー・インゲルハイムはIMPの主要スポンサーとして資金の大半を提供している。
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