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2010/8/4

経済産業情報

GM作物は「温室育ち?」 非GMに比べ環境変化に弱く

この記事の要約

遺伝子組み換え(GM)作物は非GM作物に比べ農薬散布や野外での栽培といった環境の変化によるストレスに弱いことを、チューリヒ大学進化生物学・環境研究所(IEU)の研究チームが実験で確認した。温室栽培試験で良好な結果を出ても […]

遺伝子組み換え(GM)作物は非GM作物に比べ農薬散布や野外での栽培といった環境の変化によるストレスに弱いことを、チューリヒ大学進化生物学・環境研究所(IEU)の研究チームが実験で確認した。温室栽培試験で良好な結果を出ても、野外では非GMより収穫量が少ないこともあるとして、野外試験の重要性を訴えている。

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IEUのジーモン・ツェラー氏(博士課程)を中心とするチームは、コムギ(Triticum aestivum)系統の4品種に対し、ウドンコ病の原因となる子嚢菌(Blumeria graminis)に耐性を持つ遺伝子を組み込み、遺伝子を組み込んでいない種(非GM)とともに栽培した。

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ウドンコ病にかかりやすい環境の温室で予防薬を散布せずに育てたところ、GMコムギの収穫量は非GMコムギの最大2倍に達した。一方、野外栽培では収穫量が逆転。GMコムギ2品種では対応する非GMコムギより最大56%収穫量が少なかったほか、麦角菌(Claviceps purpurea)に感染した実が40倍も多かった。また温室栽培したものと穂の形が異なる品種もあった。

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野外栽培では動物・昆虫、菌、雑草、日照りによる乾燥、気温の急激な変化など温室にはない様々なストレス要因がある。研究チームは今後、どのような環境変化がどのような影響を与えるかを研究していくとしている。今回の研究の成果はPLoS ONE(オンライン版)で閲覧できる。

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