地盤沈下にあえいでいたドイツの百貨店業界が回復に転じている。市場調査大手GfKによると、過去数十年来ほぼ一貫して下降線をたどってきた同業界の売上高は今年、初めて底を打つ見通し。景気回復による消費意欲の高まりに加え、郊外化が進んでいた大型ショッピングセンターの市街地回帰で中心街が活気を取り戻したことなどが大きいようだ。14日付『フランクフルター・アルゲマイネ(日曜版、FAS)』紙が報じた。
\流通大手メトロの百貨店子会社Galeria Kaufhofの2010年7-9月期売上高は前年同期比で約4%増加した。同社のロヴロ・マンダック社長によると、1日当たり来店者数は200万人に上る。特に好調なのは時計・宝石などの貴金属で、「時計・宝飾品の小売で全国2位、ダイヤモンド小売では全国トップ」と自信をみせる。
\「店舗内で全ての商品が買える」百貨店は、低価格のディスカウント店や郊外大型店、オンラインショップの台頭などで苦戦を余儀なくされ、08年にはHertieが、09年にはWoolworthやKarstadtが倒産に追い込まれた。
\危機的状況にあった百貨店を回生させた最大のコンセプトは「地域密着」だ。Kaufhofのマンダック社長は「かつては仕入れコストを抑えるために全国の店で同じ商品を取り扱っていた。現在は本部がベースとなる基本商品を指定するだけで、残りは各店の店長裁量で決められる」と話す。
\また、高齢者や単身世帯、自動車を保有しない都市部の住民の増加を背景に、大型ショッピングセンターが郊外から市街地に回帰する動きが加速していることは追い風になっている。百貨店が多い市街地の集客力を高めているためだ。ショッピングセンター業界団体によると、郊外型ショッピングセンターが今後5年以内に建設される計画はなく、「計画が持ち上がるとすれば市街地」に限られるという。
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