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2011/3/30

経済産業情報

カプセル販売でネスプレッソを追撃、スイスにも競合出現

この記事の要約

エスプレッソメーカーと専用のコーヒーカプセルのセット販売で快進撃を続けるネスレの子会社ネスプレッソに対し、競合が攻勢を強めている。ネスプレッソの最大市場であるフランスでは昨年、2社がネスプレッソ対応のカプセル商品を発売。 […]

エスプレッソメーカーと専用のコーヒーカプセルのセット販売で快進撃を続けるネスレの子会社ネスプレッソに対し、競合が攻勢を強めている。ネスプレッソの最大市場であるフランスでは昨年、2社がネスプレッソ対応のカプセル商品を発売。本拠地スイスでも昨年12月、ディスカウントストアのDennerが格安カプセルの販売を開始した。いずれも本家より安い価格でネスプレッソの牙城切り崩しにかかっている。22日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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ネスプレッソは今年で発売25年を迎える。1990年代の終わりごろにライフスタイル商品として人気を獲得し、墺『クライネ・ツァイトゥング』によると、2000年代に入ってからはほぼ毎年20%台のペースで成長を続けている。2010年売上高は23億ユーロで、世界の1分当たりカプセル消費量は前年の1万個から1万2,300個に拡大した。利益は一切公表していないが、業界内では「利益率は極めて高い」との見方が有力だ。

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フランスでは昨年春から、米消費財大手Sara Leeと、ネスプレッソのジャンポール・ガイヤール元社長が立ち上げたEthical Coffee Companyがスーパーマーケットでネスプレッソ対応カプセルをそれぞれ販売している。

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スイスでは食品小売大手Migros傘下のディスカウントストアDennerがスタートアップ企業と提携して、昨年12月に独自の対応カプセルの販売を開始した。ネスプレッソはこれに対し、特許侵害で提訴したものの敗訴。「ディスカウントストアでの販売はネスプレッソのイメージを傷つける」として販売差し止めを求めていた仮処分申請も18日に却下され、Dennerは当該商品の販売を再開した。

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ネスプレッソのリヒャルト・ギラルドット社長は競合の攻勢に対し今後、期間限定品などの投入や新市場の開拓、既存市場のサービス拡充などで対抗していく方針だ。値下げについてはコーヒー価格の高騰もあり「問題外」と断言。専門店(ブティック)とインターネット、コールセンター以外に販売チャンネルを拡大することについても「顧客とのコミュニケーションが希薄になる恐れがある」として否定的な立場を示した。

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