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2011/5/18

経済産業情報

自動車大手アウディが自前でグリーンエネルギー生産へ

この記事の要約

高級車メーカーの独アウディは12日、自動車のライフサイクルを通したカーボンニュートラルの実現を目指す「Audi Balanced Mobility」プロジェクトを実施すると発表した。北海のオフショア風力発電所に投資して電 […]

高級車メーカーの独アウディは12日、自動車のライフサイクルを通したカーボンニュートラルの実現を目指す「Audi Balanced Mobility」プロジェクトを実施すると発表した。北海のオフショア風力発電所に投資して電気自動車(EV)の生産と走行に必要な電力を賄うとともに、余剰電力で二酸化炭素(CO2)からメタン(天然ガス)を合成し、天然ガス車の燃料として供給する。

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同プロジェクトの最大の目玉はCO2からのメタン合成だ。これはフラウンホーファー風力エネルギー・エネルギーシステム研究所(IWES)とバーデン・ヴュルテンベルク州太陽エネルギー・水素研究所(ZSW)、オーストリアの蓄電システム開発会社Solar Fuelが共同開発した「Power-to-Gas」と呼ばれる技術で、余剰電力を使って水を水素と酸素に分解した後、CO2を水素化反応によって段階的にメタンに還元する。

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アウディはニーダーザクセン州ヴェアルテで7月にも生産能力6.7メガワットのメタン製造プラントの建設を開始する。2013年の稼働開始を目指す。メタンの原料となるCO2は隣接する生ごみバイオガス生産施設が提供する。

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風力発電については、北海沖の発電タービン4基に出資し、電力供給を受ける。タービンの年間発電量は4基合わせて53ギガワット時に達する見込み。

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アウディの試算によると、風力発電による電力で同社が開発中のEV「A1 E-tron」1,000台の生産と年1万キロの走行に必要な電力が賄える。また、合成したメタンは同社の天然ガス車「A3 TCNG」(13年に量産開始予定)1,500台が年1万5,000キロ走行するのに必要な燃料をカバーできる。

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