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2011/5/25

経済産業情報

シーメンスに違約金支払いの裁定、アレバとの合弁解消で

この記事の要約

独シーメンスが仏アレバとの原発合弁会社Areva NPから全面撤退し露Rosatomと提携するのは契約違反だとしてアレバが提訴していた係争で、国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所はこの訴えを認め、シーメンスは違約金6億 […]

独シーメンスが仏アレバとの原発合弁会社Areva NPから全面撤退し露Rosatomと提携するのは契約違反だとしてアレバが提訴していた係争で、国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所はこの訴えを認め、シーメンスは違約金6億4,800万ユーロに利子を加えた額をアレバに支払うよう裁定した。シーメンスが19日付のプレスリリースで明らかにした。

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シーメンスは2001年、原発事業をアレバとの合弁会社Framatome ANP(現Areva NP)に移管した。出資比率はアレバが66%で、シーメンスは34%にとどまったため、アレバはシーメンスの頭越しにAreva NPの重要方針を決定することが多く、シーメンスは09年1月、同合弁からの撤退方針を表明。3月にはRosatomと合弁会社を設立することで基本合意した。アレバはこれが、アレバの競合とシーメンスが提携することを、合弁解消後8年間禁止した取り決めに違反すると主張。国際仲裁裁に提訴した。

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同裁はこの訴えをおおむね認めた格好。ただ、合弁解消後の提携禁止期間を8年間とした取り決めについては4年間に短縮する裁定を下した。

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両社は今年3月に合弁を解消し、アレバはシーメンスの出資分を16億2,000万ユーロで買い取った。これに伴いシーメンスの1-3月期(第2四半期)の税引き前利益は15億2,000万ユーロ押し上げられたが、違約金6億4,800万ユーロを4-6月期決算に計上するため、合弁解消に伴う利益は最終的に10億ユーロを下回る。

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シーメンスは福島原発事故を受け、原発事業から全面撤退することを検討しているもよう。このためRosatomとの合弁は実現しない公算が高い。

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シーメンスとアレバの合弁解消については、欧州連合(EU)の欧州委員会も独自の調査を実施中。合弁解消後の提携禁止がEU競争法に抵触するかどうかが焦点となっている。

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