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2011/5/25

経済産業情報

海獣保護に向け防音技術テストへ、エネルギー8社が合意

この記事の要約

洋上風力発電を設置・運営するエネルギー大手8社は17日、海棲哺乳類を発電所建設時の騒音から保護するためのパイロットプロジェクトを実施することで合意した。トラーヴェミュンデ沖で今年8月から8カ月かけて、研究開発中の防音・消 […]

洋上風力発電を設置・運営するエネルギー大手8社は17日、海棲哺乳類を発電所建設時の騒音から保護するためのパイロットプロジェクトを実施することで合意した。トラーヴェミュンデ沖で今年8月から8カ月かけて、研究開発中の防音・消音技術を実地検証する。予算は390万ユーロで、8社が均等負担。連邦環境省にも資金援助を要請した。

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『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙によると、プロジェクトの背景にあるのは、連邦環境保護庁(BfN)が「洋上風力タービンの建設でモノパイルを打ち込む(根入れ)時の騒音や振動によって海棲哺乳類、特にネズミイルカとその幼獣の生存が脅かされる恐れがある」として新規建設に強い難色を示していることだ。ネズミイルカは北半球の寒冷な沿岸域に棲息する小型のイルカで、北海やバルト海では個体数が大きく減少している。音に非常に敏感で、船のエンジン音でも嫌がって逃げると言われる。BfNはこれを踏まえ、洋上風力発電の騒音の上限を「離岸距離750メートルの場所でモノパイル根入れ時で160デシベル」に設定する方針を打ち出した。

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RWE Innogyの関係者はFAZ紙に対し「海洋施設建設向け防音・消音技術としてはエアバブルカーテンや消音管などが開発されているが、多くは試作品の段階で、商用レベルに達しているものは1つもない」と発言。技術開発を後押しする必要性を強調した。

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プロジェクトに参加するのはBard Engineering、DONG Ennergy、EnBW Erneuerbare Energien、E.On Climate Renewables、EWE Energie、RWE Innogy、Stadtwerke Muenchen、Vattenfallの8社。統括役はRWE Innogyの子会社RWE OLCが引き受ける。

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