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2011/5/25

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇予告期間中の勤務免除の際は有給休暇の日数を明確に

この記事の要約

被用者を解雇する場合、解雇予告期間(解雇の通告から発効までの期間)中の勤務を雇用主の裁量で免除することがある。その際は解雇予告期間中に解雇される社員の有給休暇をすべて消化するようにする。例えば解雇予告期間の日数が60日で […]

被用者を解雇する場合、解雇予告期間(解雇の通告から発効までの期間)中の勤務を雇用主の裁量で免除することがある。その際は解雇予告期間中に解雇される社員の有給休暇をすべて消化するようにする。例えば解雇予告期間の日数が60日で、有給休暇が20日残っているのであれば、40日を勤務免除扱いとするのである。

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特に解釈が入り込む余地はないようにみえるが、そこは法律の世界の常で、やはり盲点が潜んでいる。ここでは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が17日に下した判決(訴訟番号: 9 AZR 189/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは有給休暇を年に30日、取得できる銀行の行員。同行員は2006年11月13日付の文書で翌07年3月末日付の解雇を通告された。文書には「未消化の有給休暇を算入したうえで貴殿の勤務を本日から有給で免除する」と書かれていた。

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同行員は解雇を不服として提訴し、最終的に解雇無効を勝ち取った。これを受け、07年4月1日~12月末日までの有給休暇が取得されないままになっているとして、同9カ月分の休暇(22.5日)を申請。これが拒否されたため、新たな裁判を起こした。

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BAGのプレスリリースによると、原告行員の見解は、解雇予告期間中に雇用主が同行員に対して認めた有給休暇は06年の分と、07年1月1日~3月31日分の7.5日(30日-22.5日)に過ぎず、07年4~12月の分(22.5日)は未消化になっているというもの。判決文が未公開のため、被告銀行が具体的にどう反論したかは定かでないが、プレスリリースから推測すると、解雇予告期間中の原告に対し07年1~12月の有給休暇(30日)をすべて与えたとの立場を取ったとみられる。

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裁判では1、2審で原告の訴えが退けられたものの、最終審のBAGは下級審判決を破棄し、原告勝訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、原告宛の文書で被告は解雇予告期間中の勤務免除の日数と有給休暇の日数を明確に伝えなかったと指摘。こうした場合は文書の受け取り手である被用者の文章解釈が優先されるとの見解を示した。

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