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2011/5/25

ゲシェフトフューラーの豆知識

パイロット60歳定年協定は違法=欧州裁法務官

この記事の要約

パイロットの採用年齢を制限したルフトハンザ航空の労使協定が一般平等待遇法(AGG)が禁止する差別に当たることは先週号(2011年5月18日)の当コラムでお伝えした。表題にあるように今週はパイロットの定年年齢をめぐる裁判を […]

パイロットの採用年齢を制限したルフトハンザ航空の労使協定が一般平等待遇法(AGG)が禁止する差別に当たることは先週号(2011年5月18日)の当コラムでお伝えした。表題にあるように今週はパイロットの定年年齢をめぐる裁判をお伝えする。

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ドイツの法定定年年齢は現在65歳となっている。これに対しルフトハンザでは労使合意に基づきパイロットを60歳で定年とし、退職後3年間、給与の60%相当額を支給している。空の便の安全運行を狙った措置で、ドイツではこれまでこうした協定が認められてきた。

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だが、欧州連合(EU)の一般雇用均等指令(2000/78/EC)を国内法に転換するAGGが施行された2006年、同社のパイロット3人は60歳定年協定をAGG違反として提訴。裁判は最高裁の連邦労働裁判所(BAG)に持ち込まれた。

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BAGの裁判官は欧州司法裁判所(ECJ)の近年の判決を踏まえ、同協定がEU法に違反している可能性があるとみてECJの先行判決を仰いだ。ECJはこれを受けて審査を開始。今月19日に法務官見解を発表した(訴訟番号:C-447/09)。

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法務官は見解のなかで、フライトの安全性を踏まえると定年を60歳とすること自体は不当な差別に当たらないとしながらも、そうした決定を下す権限を持つのは各国の当局に限られると指摘。労使協定で定めることは違法だとの判断を示した。欧州司法裁は通常、法務官意見に沿った判決を出すため、ルフトハンザの労使協定は無効となる可能性が高い。

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