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2011/6/1

経済産業情報

世界初のパッシブハウス高層住宅が登場

この記事の要約

超省エネ住宅(パッシブハウス)に改修した世界初の高層アパートがドイツ南部のフライブルク市で誕生し、このほど完成式典が行われた。建物があるのは1960年代に建てられた高層住宅が立ち並ぶヴァインガルテン地区で、改修工事には1 […]

超省エネ住宅(パッシブハウス)に改修した世界初の高層アパートがドイツ南部のフライブルク市で誕生し、このほど完成式典が行われた。建物があるのは1960年代に建てられた高層住宅が立ち並ぶヴァインガルテン地区で、改修工事には1年半を要した。関係者は、同プロジェクトが今後の高層住宅エコ改築のモデルになればと期待を寄せる。

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同改修プロジェクトは、自治体系の住宅建築・供給会社Freiburger Stadtbauとエコ建設会社Badenova WaermePlus、フラウンホーファー太陽エネルギー研究所(ISE)の3者が共同で実施している。ヴァインガルテン地区の高層住宅を2020年までに段階的にパッシブハウスに改修し、同地区の一次エネルギー消費量を改修前の半分に減らすことを目標に掲げる。

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今回完成した高層パッシブハウスは三重ガラス窓と断熱材を多用することで熱を逃がさない構造になっている。また、改築前には全ての住宅にベランダが付いていたが、改築後には一部の住宅でベランダをなくして住空間に仕切り直した。これにより建物の表面積を減らし熱が逃げにくくした。さらに、サーマルブリッジ(2つの面を結ぶ熱抵抗値の低い伝熱経路)ができないように設計を工夫。サーマルブリッジが避けられなかった個所ではエアロジェル断熱材を使用して影響を最小限に抑えた。

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改修工事の終了後にISEが行った測定では、年間暖房エネルギー消費量は1平方メートル当たり20キロワット時で、改修前の5分の1に減少した。暖房・温水・照明・換気・家電電力消費まで含めた一次エネルギー使用量は4割減ったという。

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ISEは今後、実際に人が生活する環境でのエネルギー消費量を測定し、その結果をプロジェクトに活用する方針だ。

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