製薬大手の独Bayer(レバークーゼン)は主力製品である多発性硬化症治療薬「Betaferon」の米国市場向け生産を競合の独Boehringer Ingelheimに委託する。自社生産が採算割れになっているためだ。欧州向け生産はすでにBoehringerに委ねており、Bayerは同薬の生産から全面撤退することになる。
\Bayerは米市場向けのBetaferonをカリフォルニア州エメリービルで生産している。工場を競合Novartisから借り受けているほか、生産する製品の一部をNovartisが米市場で販売しているため、採算が取れていない。NovartisとはBetaferonをめぐり裁判で争い、最終的に工場を借り受けてNovartis向けの生産を請け負うことで合意した経緯がある。
\一方、Boehringerは最近、同社製のBetaferonの米国販売を米食品医薬品局(FDA)から承認された。Bayerはこれを受けて米市場向けの生産もBoehringerに委託。エメリービル工場の操業を2013年秋に停止する。これに伴い従業員540人を整理する予定だ。
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