欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/6/8

経済産業情報

燃料電池車で世界一周に成功、ダイムラーが量産前倒し

この記事の要約

自動車大手の独ダイムラーは1日、燃料電池車の量産を当初計画よりも1年早い2014年に開始すると発表した。同社はこの日、小型車「Bクラス」の燃料電池車で世界一周を達成。シュツットガルト本社ビルで到着を出迎えたディーター・ツ […]

自動車大手の独ダイムラーは1日、燃料電池車の量産を当初計画よりも1年早い2014年に開始すると発表した。同社はこの日、小型車「Bクラス」の燃料電池車で世界一周を達成。シュツットガルト本社ビルで到着を出迎えたディーター・ツェッチェ社長は「燃料電池車の機は熟した。今後はインフラ整備が課題となる」と述べ、工業ガス大手リンデなどと共同で燃料の水素を供給するステーション網を構築することを明らかにした。

\

世界一周を果たした燃料電池車は同社の創業125周年式典が行われた1月末にシュツットガルトを出発。4大陸の計14カ国を4カ月かけて走破した。走行距離は3万キロで、水素は同行したリンデの燃料車が供給した。

\

燃料電池車は電気自動車(EV)に比べ給油時間が大幅に短いうえ、航続距離も現在400~500キロメートルと長い。だが、開発が難しく、競合のフォルクスワーゲン(VW)やBMW、フォードは研究開発を抑制、主にEVの開発に重点を置いてきた。一方、ダイムラーはEVとともに燃料電池車の開発も重視し、これまでの10億ユーロを投じた。

\

燃料電池車の普及には水素給油網の拡充が欠かせない。ドイツ国内には現在7カ所しかないため、同社はリンデ、ENBW(電力)、シェル、トタル、OMV(以上ガソリン販売)と共同で2014年までに計20カ所を新設する。1カ所当たりの設置コストは100万~150万ユーロで、通常のガソリンスタンドを大きく上回る。

\

燃料電池の触媒に高価なプラチナを用いていることも普及のネックとなっている。ダイムラーのトーマス・ヴェーバー取締役(開発担当)はこれに関して「(燃料電池車で)競争力のある価格を実現できる」と述べ、プラチナに代わる触媒の実用化に自信を示した。

\