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2011/6/8

経済産業情報

ビール大手がスマートグリッドで節電

この記事の要約

ドイツの大手ビールメーカーPaulaner Brauerei(ミュンヘン)がスマートグリッドの取り組みを開始した。導入したのは「デマンド・レスポンス(需要応答、DR)」と呼ばれる技術で、DRソリューションを提供するEnt […]

ドイツの大手ビールメーカーPaulaner Brauerei(ミュンヘン)がスマートグリッドの取り組みを開始した。導入したのは「デマンド・レスポンス(需要応答、DR)」と呼ばれる技術で、DRソリューションを提供するEnteliosによると、業務に全く支障がないまま電力コストを最大3%削減できるという。3日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。

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電力会社は需要に供給が追いつかなくなった時、他の電力事業者から電力を買い取って家庭や事業所に供給する。この仕入れ料金(卸値)は分・時間刻みで変動するため、電力価格が高い時に大量に電力を購入することは電力会社の損失につながる。卸料金がピークに達した時に、需要家側の消費量を電力会社の側から制御することでコスト上昇を抑えるのがDRのコンセプトだ。

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ビール醸造では低温の温度管理が必要で、ピルスやボックビールなどビールタンク下部で発酵するビールの醸造ではわずかの停電も品質悪化に直結する。一方、小麦ビールなど上部発酵ビールでは、一時的に電力供給が止まっても大きな影響はない。このためPaulanerは、上部発酵ビール醸造時は電力会社が電力の供給を制御できるようプログラムを設定した。同社の省エネ担当者は「ビール醸造業は飲料産業で初めて電気を使って製造を始めた業界。ビール製造コスト全体に占める電気代の割合は5%に過ぎないが、電気が重要な役割を果たしていることには変わりない」と述べ、スマートグリッドの意義を強調した。

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DRソリューションを提供するEnteliosは2010年設立のスタートアップ企業。システム運用費用は電力会社の拠出で賄っている。Paulaner以外にも多くの産業顧客から引き合いがあるという。

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