米格付け大手ムーディーズは3日、独エネルギー大手エーオンの長期格付け引き下げを検討する方針を明らかにした。3月中旬から運転を停止していた老朽原発の廃炉が決まったことで、経営が圧迫される可能性が高まったため。同じ理由で、独エネルギー3位のEnBWの格付けも同日、「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。
\エーオンは政府の方針を受けてイザールⅠ(バイエルン州)とウンターヴェーザー(ニーダーザクセン州)の廃炉を余儀なくされた。Vattenfall Europeと共同出資するブルンスビュッテル(シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州)とクリュンメル原発も廃止される。
\EnBWは発電総量の半分を原子力が占め、原発への依存度が高い。政府方針を受け同社は保有する原発4基のうちネッカーヴェストハイムⅠ、フィリップスブルクⅠ(いずれもバーデン・ヴュルテンベルク州)の2基を一度に失うため、状況は極めて深刻だ。
\政府与党は先月末、国内の原発を2022年末までに全廃することで合意。福島原発事故などを受けて停止していた8原発の廃炉も合わせて決定した。バーデン・ヴュルテンベルク州立銀行(LBBW)の試算によると、この決定に伴う電力会社の損害は最大220億ユーロに達する見通し。また、今期の利益についても下方修正が避けられず、支払い利息・税金・償却前利益(EBITDA)はエーオンで当初の予測より10億ユーロ、RWEでも同7億ユーロ落ち込む見通しという。
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