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2011/6/15

経済産業情報

スイッチ1つで硬さが変化、ナノハイブリッド素材を独中が共同開発

この記事の要約

電気を通すと数秒で強度や延性(伸ばしやすさ)が変化する金属複合材の開発に、ハンブルク・ハールブルク工科大学と中国・瀋陽大学などの独中研究チームが成功した。金(あるいは白金)の多孔質体に電解液を吸水させるという異色の取り合 […]

電気を通すと数秒で強度や延性(伸ばしやすさ)が変化する金属複合材の開発に、ハンブルク・ハールブルク工科大学と中国・瀋陽大学などの独中研究チームが成功した。金(あるいは白金)の多孔質体に電解液を吸水させるという異色の取り合わせで、硬い状態にも軟らかい状態にも変化させられるという。現在は基礎研究の段階だが、将来的には亀裂などの機械的損傷を自己修復するといった機能性材料への応用につながると期待されている。

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金属ハイブリッド素材の作り方は◇金ないし白金を酸に浸漬して腐食させ、ナノサイズの細孔を有する金多孔質体を形成する◇細孔に電解質溶液をしみこませる――というもので、手順は極めて単純だ。しみこませる電解液も食塩水、あるいは薄い酸など身近な素材で構わない。

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硬さが変化するのは電解液中のイオンと金ナノ構造表面の電子の相互作用による。ハンブルク・ハールブルク大のヴァイスミュラー教授によると、溶液中にイオンが存在すると、溶液と接触する金ナノ表面で電荷の移動(帯電現象)が起こる。溶液に電圧をかけて金表面にさらに電子を加える(あるいは電子を奪う)ことで表面の原子結合が変化し、強度や応力などの機械的性質を短時間で変化させられるという。

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研究結果は『Science』誌(11年6月3日号)に掲載された。

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