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2011/6/15

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇通知の送達で最高裁判決

この記事の要約

特定の誰かに対し文書で意思を伝える際は、文書が宛先人の手元に届いた時点で意思表明がなされたとみなされる。これは民法典130条1項に記された決まりで、解雇通知にも適用される。では文書を宛先人の家族が受け取った場合はどのよう […]

特定の誰かに対し文書で意思を伝える際は、文書が宛先人の手元に届いた時点で意思表明がなされたとみなされる。これは民法典130条1項に記された決まりで、解雇通知にも適用される。では文書を宛先人の家族が受け取った場合はどのような取り扱いがなされるのであろうか。ここでは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が9日に下した判決(訴訟番号:6 AZR 687/09)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは企業役員の業務補佐を担当していた女性社員。同社員は2008年1月31日、社内でけんかをし、そのまま職場を去ってしまった。雇用主はこれを受け、同社員を2月29日付で解雇することを決定。職場放棄したその日のうちに解雇通知を原告の夫に手渡した。夫は別の企業に勤めていたため、人を使ってその職場まで届けさせたのである。

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夫はこの日、妻宛の解雇通知を自分の職場に置いたまま帰宅し、妻には翌2月1日に手渡した。このため原告(妻)は、民法典130条1項に基づく解雇文書の受取日は2月1日だと主張。これに伴い解雇の発効日は2月29日から3月31日に変更されなければならないとして、その確認を求める裁判を起こした。

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原告は第1審で勝訴したものの、第2審で敗訴。最終審のBAGも第2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、夫は原告と同じ住居に住んでおり、解雇通知を預かったその日のうちに妻に手渡すと考えるのは社会通念上妥当と指摘。解雇の意思は夫が解雇通知を預かった1月31日の時点で原告に伝えられたとみなされるとの判断を示した。

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