日本の放射能漏れ事故とドイツの脱原発前倒し政策を受けて、ポンプ大手の独KSB(フランケンタール)が原発向け事業を見直す方向だ。同社のヴォルフガング・シュミット社長は『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙に対し「福島原発事故が起こるまでは原子力向け事業は戦略的な優先度が高かったが、現在はこの位置づけを相対化せざるを得ない」との認識を示した。
\KSBは原発の冷却システム用ポンプを製造している。同社の売上全体(19億ユーロ)に占める割合は5%と小さいものの、中国などの新興国を中心に原発建設が増える見通しを受け、将来性を高く評価してきた。
\だが、本国ドイツが原子力政策を転換したことで状況は一転。稼働停止中の国内8原発の廃炉がほぼ確実になったことだけで売上高が約2,000万ユーロ吹き飛んだという。中国が仮に原発建設計画を下方修正すると、痛手が膨らむのは避けられず、同社は原発向け事業の先行きに慎重になっている。
\独8基の廃炉に伴う売り上げの穴については、フランスの原発向けサービス事業や石炭、ガス、水力発電向け事業の強化を通して埋め合わせる考え。
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