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2011/7/6

経済産業情報

レール鋼でカルテル容疑、鉄鋼メーカーに捜査のメス

この記事の要約

複数の鉄鋼メーカーが鉄道用レールでカルテルを結んでいた容疑でボーフム検察当局が捜査を開始した。5月に連邦カルテル庁が実施した立ち入り調査でカルテル疑惑が強まったことを受けたもの。対象企業などの詳細は明らかにしていない。『 […]

複数の鉄鋼メーカーが鉄道用レールでカルテルを結んでいた容疑でボーフム検察当局が捜査を開始した。5月に連邦カルテル庁が実施した立ち入り調査でカルテル疑惑が強まったことを受けたもの。対象企業などの詳細は明らかにしていない。『Derwesten』紙によると、ティッセンクルップ子会社のGfT Gleistechnik、墺Voestalpine子会社のNeue Maxhuetteなど計10社が捜査を受けており、カルテルに関与した容疑者は30人以上に上るという。

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同紙の報道によると、「Schienenfreund(線路の友)」と呼ばれるカルテルグループが2008年までの10年以上にわたって、レール鋼の価格協定や公共事業の入札談合など独禁法違反の行為を続けていた疑いが持たれている。同グループに初めから関与していたとされるのはGfT GleistechnikとNeue Maxhuetteの2社で、後にスウェーデンInexa、英蘭Corusグループ(現在は印Tata Steel傘下)、チェコCMC Trinec、ポーランドHuta Katowiceなどが加わった。しかし、ルクセンブルク鉄鋼大手アルセロール・ミタルが08年にHuta Katowiceを買収し、Schienenfreundより35%安い価格を提示してドイツ鉄道(DB)の大型受注を獲得したこと契機に、カルテルは解散されたという。

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カルテルによる最大の被害者はDBで、同社は数億ユーロの損害を被ったと試算している。

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GfT Gleistechnikのカルテル容疑は、親会社のティッセンクルップにとって寝耳に水だったようだ。同社は捜査への全面協力を表明したほか、GfTの役員更迭や従業員の懲戒解雇など厳しい措置を取っている。

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Voestalpineは1日、同社が最初に通報したことを明らかにした。制裁金の回避が狙いと説明している。

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