フォルクスワーゲン(VW)グループが開発した直噴ディーゼルターボエンジン「TDI」の欧州共同体商標(以下:EU商標)登録をめぐる係争で、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は6日、登録を拒絶した欧州共同体商標意匠庁(OHIM)の裁定を支持する判決を下した。TDIのフルネームである“ターボディーゼル・インジェクション”という語は純粋に記述的な表示で、TDIはその略号に過ぎないためとしている。(訴訟番号:T-318/09)
\VWと子会社アウディは2003年5月、OHIMにTDIのEU商標登録を出願。OHIMの審査官は07年2月、同名称は特定の企業(今回の係争ではアウディ)と結びついているわけではなく、識別性に乏しいとして出願を却下した。両社はこれを不服として異議申し立てを行ったが、OHIM第一審判部が09年5月、「同名称は記述的表示でありEU商標保護の対象にならない」などとして申し立てを却下したため、その取り消しを求めて同年8月、ECJに提訴していた。
\アウディの広報担当者が『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』に明らかにしたところによると、TDIはドイツなど多くの国ですでに商標として認められている。エストニアやリトアニアなど一部の国は含まれていないものの、リトアニアではすでに出願を済ませたという。各国で個別に登録を行っているにもかかわらずEU商標による保護を求めたことについては「二重の保護を獲得するため」と説明。競合が同名称を使用することを阻むことが目的だと強調した。
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