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2011/7/6

ゲシェフトフューラーの豆知識

職場での事業所委員の業務で最高裁判決

この記事の要約

事業所委員(Betriebsrat)に選ばれた社員は勤務時間中に事業所委員会の業務を行うことができる。事業所委員会は労働組合と異なりあくまでも会社の一機関だからである。ただし、事業所委の業務を行うために所属する勤務部署を […]

事業所委員(Betriebsrat)に選ばれた社員は勤務時間中に事業所委員会の業務を行うことができる。事業所委員会は労働組合と異なりあくまでも会社の一機関だからである。ただし、事業所委の業務を行うために所属する勤務部署を一時的に離れる際は、上司にその旨をあらかじめ伝えておかなければならない。これについては最高裁である連邦労働裁判所(BAG)の判決で判例が定まっている。では、事業所委の業務を所属部署で行う場合も上司にその旨を事前連絡しなければならないのだろうか。ここではBAGが6月29日に下した判決(訴訟番号:7 ABR 135/09)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはバーデン・ヴュルテンベルク州にある自動車市場調査会社の事業所委員会。雇用主から事業所委の業務を職場で行う際も上司に事前連絡するよう要求されたため、これを不当として提訴した。事業所委の業務は事業所委員同士の連絡や文書のやり取りを含めて職場のパソコンを使って行うことが多いため、メール送信などを行う前にそのつど上司に連絡するのは不合理だと訴えた。

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この係争でBAGが下した判決は、勤務時間中に事業所委の業務を職場で行う場合も原則として事前報告しなければならないというもので、原告の訴えは退けられた格好となった。ただ、裁判官は、事前連絡を義務化する目的は事業所委員が所属部署の仕事を中断することで生じる業務上の穴を、雇用主が他の社員を使うなどして相殺できるようにすることにあると指摘。相殺の必要がない場合は事後連絡でもよいとの判断を示した。

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