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2011/7/20

経済産業情報

独自動車メーカー、持続可能性への取り組み本格化

この記事の要約

ドイツの自動車メーカーが、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として環境保全をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)への取り組みに本腰を入れている。経営指針の中に持続可能性を盛り込んでいない大手メーカーは1社もなく、 […]

ドイツの自動車メーカーが、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として環境保全をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)への取り組みに本腰を入れている。経営指針の中に持続可能性を盛り込んでいない大手メーカーは1社もなく、内容も環境性能の向上、製品リサイクル、有害物質の削減、生産・流通時のエネルギー効率改善、社会貢献など多岐にわたる。12日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じた。

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欧州自動車最大手のフォルクスワーゲン(VW)は、「2018年までに持続可能性で自動車メーカー世界トップ」を目標に掲げる。評価基準で重視するのは「従業員の満足度」「CO2排出量」「製造時のエネルギー効率」で、世界の幹部役員クラスの責任者20人ほどが年に数回会合を開き、取り組みの方向性を議論する。VWの担当者は「わが社は世界62カ所に製造拠点を持つ。国によって持続可能性を実現する方法は異なるため、こうしたミーティングは欠かせない」と語る。例えばブラジルでの取り組みでは、サンパウロ州に2カ所目の水力発電施設を建設し、生産に必要な電力の4割近くをエコ電力で賄う計画で、建設事業によって500人の雇用が生まれるという。

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BMWは早くから持続可能性に取り組んでおり、社会的責任投資(SRI)の世界的な指標である「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」(DJSI)では初年(1999年)から構成銘柄に選ばれている常連。05年からは6年連続で自動車部門のセクターリーダーの座に輝いている。同社が特に力を入れるのは環境性能の向上で、昨年には同社のラインナップのうち52モデルで走行1キロメートル当たりのCO2排出量を140グラム以下に抑えることに成功した。また、生産効率の向上にも取り組み、07年からこれまでに節減できた生産エネルギーコストは7,000万ユーロに達するという。

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ダイムラーは2010年、持続可能性を企業戦略目標の1つとして正式に取り入れた。同社のサステナビリティ報告書(2011年版)によると、環境保護研究に関する予算を引き上げて取り組みの基盤を強化したほか、生産効率の改善も進め、メルセデス・ベンツブランド生産1台当たりのCO2排出量を09年の1,485キログラム(kg)から1,350kgに、有機溶剤の使用量も同1.03kgから0.93kgに減少させた。同社のディーター・ツェッチェ社長はFAZ紙に対し、「経済活動(エコノミー)は環境保護(エコロジー)、社会的責任と対立するものではない。互いに補完して全体をなすものだ」と述べ、取り組み強化の意義を強調した。

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