欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/8/10

経済産業情報

水圧破砕による天然ガス採掘に環境相「待った」

この記事の要約

シェールガス(非在来型の天然ガスの1種)の採掘で主流となっている水圧破砕法(フラッキング)について、ノルベルト・レットゲン連邦環境相(キリスト教民主同盟=CDU=)は環境汚染リスクに関する詳細な調査を実施する方針だ。地方 […]

シェールガス(非在来型の天然ガスの1種)の採掘で主流となっている水圧破砕法(フラッキング)について、ノルベルト・レットゲン連邦環境相(キリスト教民主同盟=CDU=)は環境汚染リスクに関する詳細な調査を実施する方針だ。地方紙『ヴェストフェーリッシェ・ナッハリヒテン』に対し明らかにしたもので、安全性が確認されるまでは同法による掘削を禁止するとしている。

\

フラッキングは頁岩(シェール)層に貯留する天然ガス(シェールガス)の採掘で主に使われる手法。化学物質と砂を混ぜた水を高圧で地中に注入してシェール層に割れ目(フラクチャー)を作り、内部にあるガスを抽出する。低コストで効率よくガスを採取できることからエネルギー企業は同法による採掘を推進する一方、環境保護団体は注入した化学物質による地下水汚染の可能性があると指摘する。

\

環境汚染リスク調査はノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州経済相の要請を受けて実施する。同州は昨年、米石油大手エクソンモービルなどのエネルギー会社からなる国際コンソーシアムに非在来型天然ガスの試掘権を付与したが、州議会では野党の自由民主党(FDP)を除く全ての政党が「フラッキングによる掘削には技術的に改善の余地が大きい」として反対の立場を表明。同州環境省の広報官によると、州内20カ所にあるガス田候補地で試掘に入ったところはないという。

\