欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/8/24

企業情報

Solar Millennium AG―米プロジェクトで太陽熱から太陽光に軸足移す―

この記事の要約

太陽熱発電プロジェクト開発の独Solar Millennium(エアランゲン)は18日、米モハベ砂漠(カリフォルニア州南部)に世界最大の太陽熱発電所を設置する計画で、使用する発電技術を太陽熱から太陽光に変更すると発表した […]

太陽熱発電プロジェクト開発の独Solar Millennium(エアランゲン)は18日、米モハベ砂漠(カリフォルニア州南部)に世界最大の太陽熱発電所を設置する計画で、使用する発電技術を太陽熱から太陽光に変更すると発表した。太陽熱発電は太陽光発電に比べ建設費が高く投資回収期間が長いため、出資者の確保が難しいと理由を説明している。

\

Solar Millenniumは60億ドルを投資してモハベ砂漠に出力250メガワットの集光型太陽熱発電(CSP)プラント4基を建設する計画を掲げてきた。計画は第1期と第2期に分かれており、今年4月には米政府から第1期プロジェクト費用の75%に当たる21億ドルの融資保証を獲得していたが、今回、第1期分について計画を変更した。

\

太陽光発電セル(太陽電池)は世界的に価格が急落しているため、建設費用をCSPより大幅に低くできるようになったことが背景にある。ただ、計画を変更したことで、米政府からの融資保証は受けられなくなる。また、設備納入業者などを決め直す必要があり、計画通りにプラントを建設できるかには疑問が残る。

\

同社は「北米で手がける初のプロジェクトでは太陽光に方式を変更したが、主軸は今後も太陽熱」として企業戦略の基本に変わりはないとの立場を強調した。ただ、“お家芸”の太陽熱から一歩退いたことで株主の間には不信感が拡大、18・19日の両日は株価が底割れした。

\

同社が19日発表した2011年4月中間決算では、売上高が前年同期比65%減の1,120万ユーロへと大きく後退。営業損失(EBITベース)も2,510万ユーロから3,260万ユーロに悪化した。また、決算報告に先立つ15日には財務担当取締役が突然の辞任を表明するなど、経営は混乱が続いている。

\