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2011/8/24

経済産業情報

導電性と伸びを兼ね備えたゴムを開発

この記事の要約

高い導電性と伸び性能を持つゴム材の開発にドレスデン・ライプニッツ・ポリマー研究所(IPF)のゲルト・ハインリッヒ教授を中心とする共同研究チームが成功した。常温溶解塩(イオン液体)を用いて多層カーボンナノチューブ(多層CN […]

高い導電性と伸び性能を持つゴム材の開発にドレスデン・ライプニッツ・ポリマー研究所(IPF)のゲルト・ハインリッヒ教授を中心とする共同研究チームが成功した。常温溶解塩(イオン液体)を用いて多層カーボンナノチューブ(多層CNT)をゴム中に均質に分散させるのがポイントで、金属並みの導電性を持ちながら、ゴム本来の持ち味である弾性も兼ね備えているという。

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ゴムは本来、電気を通さない絶縁体だが、CNTを添加することで導電性を持たせることができる。ただ、CNTはゴムの補強材でもあるため、添加量を増やせば導電性が高まる一方で材質が硬くなり、ゴム特有の柔軟性や伸び性能が低下する問題がある。

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IPFの研究チームは今回、イミダゾリウム系イオン液体に多層CNT(重量部5phr)を加えてゲル化し、ポリクロロプレン(合成ゴムの一種)中に分散させた。CNTを分散させたゴムの導電性は0.1S/cm、ストレッチ性は500%以上だった。

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IPFのチームはさらに別の研究で、フッ化ゴムの耐熱性能を改良することにも成功した。フッ化ゴムにハロイサイト(アルミノケイ酸塩のナノチューブ)を添加して結合させることで、これまで400度が最高だった耐熱限界温度を450度に引き上げたほか、従来品では150~200度だった耐熱安全温度も改善できたという。

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IPFは今回の研究成果を、ドレスデンで25日まで開催される国際会議(EUROFILLERS)で紹介する予定だ。

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