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2011/10/5

経済産業情報

「リーマン債で銀行に落ち度なし」=最高裁

この記事の要約

米証券大手リーマン・ブラザースの破たんで損失を被ったハンブルク貯蓄銀行(Haspa)の顧客2人が同行に損害賠償を求めていた係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は9月27日、原告の訴えを棄却する判決(訴訟番号:XI Z […]

米証券大手リーマン・ブラザースの破たんで損失を被ったハンブルク貯蓄銀行(Haspa)の顧客2人が同行に損害賠償を求めていた係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は9月27日、原告の訴えを棄却する判決(訴訟番号:XI ZR 152178/10、XI ZR 182/10)を下した。判決理由で裁判官は「商品を勧めたHaspa側に落ち度はなかった」との判断を示した。

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原告は定年退職した元教員の男性とダイエットスタジオを経営する栄養士の女性。男性は2006年12月、Haspaの相談員に勧められて米リーマンの蘭子会社が発行した「プロテクト・エクスプレス」債を、女性は07年10月に同じく「ブル・エクスプレス・ギャラント」債をそれぞれ1万ユーロ購入した。プロテクト・エクスプレスは、DAX30銘柄企業10社、ブル・エクスプレス・ギャラントはEurostoxx50銘柄企業の値動きに応じて支払い時期・額が変動する仕組みの商品で、いずれも無記名式社債券(持参人払いの証券)だった。また、元本保証型で、運用結果が元割れとなった場合でも親会社の米リーマンが損失を穴埋めすることになっていたが、リーマンが08年に経営破たんしたことで債券は価値のほとんどを失った。このため2人は、Haspaがリスクの説明を十分にしていなかったなどとして損賠訴訟を起こした。

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BGHの裁判官は「証券の発行者が破産した場合は元本が失われるという一般リスクについてHaspaは適切な説明をしていた」と事実認定したうえで、◇Haspaが債券購入を勧めた時点でリーマンの経営破たんは全く予見できなかった◇持参人払い式債券が預金保護基金による補償の対象外であることを金融機関側がことさらに説明する義務はない――などと指摘。Haspa側に説明義務違反はなかったと結論づけた。

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