南米最大の経済規模を誇るブラジルで事業を強化するドイツ企業が増えている。電機大手のシーメンスは9月21日、製造実行システム(MESソリューション)開発を手がけるActive SA(サンパオロ州サントアンドレ)を買収すると発表。自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は5日、ブラジル事業に今後5年で34億ユーロを投資する方針を表明した。化学大手ランクセスも同日、3,000万ユーロを投資して3工場を新・改築する計画を明らかにしている。
\ブラジルは高度な経済成長が続いており、有望な市場の1つに数えられる。在サンパウロ独商工会議所(AHK)によると、ブラジルに拠点を置く独企業は現在1,200社、独企業の対ブラジル投資は250億米ドルに達する。独商用車大手MANのロベルト・コルテス南米事業統括責任者はロイター通信に対し、ブラジルでの今後5年の販売台数が年率10%のスピードで増加するとの見通しを明らかにした。ドイツ政府もブラジル開発援助を重視しており、9月に同国を訪問したディルク・ニーベル開発相は2010~11年度の2年間に計2億4,500万ユーロを支援すると確約した。
\ただ、ブラジルへの投資は積極的な理由に基づかないケースもある。5日付『ハンデルスブラット』紙によると、高級車メーカーのBMWはサンパウロで工場建設を計画している。背景にはブラジル政府が9月に輸入車関税率の30ポイント引き上げを決めたことがあるもようだ。部品の現地調達比率が65%以上のメーカーには輸入車の新関税率が適用されないため、BMWは工場建設に踏み切るという。
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