北アフリカ、中東に太陽熱などの発電施設を建設し電力を欧州に供給する「デザーテック」プロジェクトが実現に向けて動き出す。同プロジェクトを統括するミュンヘン再保険のエルンスト・ラオホ氏は10月29日付『南ドイツ新聞』に対し、2012年にモロッコでパイロット発電所の建設を開始することを明らかにした。採用技術、立地などの具体案を12年初頭に策定し、2~4年の建設期間を経て稼働開始する予定だ。
\デザーテックはドイツを中心とする大手企業が09年に立ち上げたプロジェクト。北アフリカ、中東の各地に太陽熱、風力などの再生可能エネルギーを利用した大規模な発電施設を建設し、2050年までに欧州の電力需要の15%をカバーする目標だ。生産した電力の大部分は現地向けに供給し、地域の長期的な経済発展を支援することも狙っている。
\今回のパイロット施設は出力が計500メガワットで、12平方キロメートルの敷地に建設される。建設予算は20億ユーロを見込む。第1期工事では約6億ユーロを投じて出力150メガワットの施設を建設する予定だ。
\プロジェクト推進役を務めるDesertec Industial Initiative(DII)は設立当初の09年10月、実現可能性調査に3年を要し、発電所の建設開始は早くても2015年になるとの見通しを示していた。しかし、モロッコ、チュニジア、アルジェリア、エジプトなどの北アフリカ諸国が再生エネの利用に大きな関心を示すほか、リビア内戦の終結で政情安定への期待が高まったことが追い風となったもようだ。
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