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2011/11/2

ゲシェフトフューラーの豆知識

求人の際はドイツ語特有の性別表記に注意を

この記事の要約

ドイツ語では職業や身分を表す男性名詞の末尾に「-in」をつけると女性名詞となり、その主体も男性でなく女性を意味することになる。例えば先生を意味する「Lehrer」という男性名詞は男の先生を指すため、女性教師の場合は「Le […]

ドイツ語では職業や身分を表す男性名詞の末尾に「-in」をつけると女性名詞となり、その主体も男性でなく女性を意味することになる。例えば先生を意味する「Lehrer」という男性名詞は男の先生を指すため、女性教師の場合は「Lehrerin」としなければならない。男性教師と女性教師をともに含める場合は「Lehrer/in」といった風に表現する。

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表現上は小さな区別に過ぎない。だが、社員募集の広告を出す際は細心の注意を要する事柄である。ここではカールスルーエ高等裁判所が9月に下した判決(訴訟番号:17 U 99/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのは運送会社の取締役募集に応募した女性。求人広告には男性の取締役を意味する「Geschaeftsfuehrer」との語のみが表記されていた。

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原告女性は不採用となった。このため、同社の募集は一般平等待遇法(AGG)が禁じる不当な男女差別に当たるとして、2万4,765ユーロの損害賠償を求めて提訴した。

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第1審のカールスルーエ地方裁判所はこの訴えを棄却したものの、第2審のカールスルーエ高等裁判所は逆転勝訴を言い渡し、被告企業に1万3,257.36ユーロの損賠支払いを命じた。判決理由で裁判官は、求人の場合は男性と女性をともに募集していることが明確に分かるような表現を用いなければならないと指摘。被告の求人広告にあるGeschaeftsfuehrerという語は男性の取締役を意味するため、女性差別に当たるとの判断を示した。適切な表現の例として「Geschaeftsfuehrer/in」「Geschaeftsfuehrer m/w」を挙げている(「m/w」は「maennlich oder weiblich」の略で「男性ないし女性」の意)。最高裁への上告は認めていない。

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