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2011/11/9

経済産業情報

クモ型ロボットが災害現場を探査、8本脚で歩行の安定性確保

この記事の要約

8本脚で歩行する災害探査用ロボットを、フラウンホーファー生産工学自動化研究所(IPA)が開発した。クモの歩行メカニズムをモデルに製作したもので、4本の脚で体を支えながら残る4脚を動かして前進するため、安定性が非常に高い。 […]

8本脚で歩行する災害探査用ロボットを、フラウンホーファー生産工学自動化研究所(IPA)が開発した。クモの歩行メカニズムをモデルに製作したもので、4本の脚で体を支えながら残る4脚を動かして前進するため、安定性が非常に高い。また、油圧を駆動源に採用しており柔軟な動きが可能だ。さらに、ラピッドプロトタイピング(積層造形法)によって複雑な形や硬度の異なる部品を簡単に作成できるため、成形・組み立ての手間やコストを大きく低減できる。

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化学工場での事故や自然災害など、人間が立ち入るには危険な場所での検知・探査作業ではロボットの手助けが欠かせない。その場合、事故や災害で破壊された機器や有害物質が床に散乱しているといった悪条件でも転倒せずに作業できるよう、高い安定性と柔軟な動きを実現することが最大の課題となる。また、がれきなど不安定で崩れやすい場所でも移動できるよう、軽量化も必要になる。

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IPAの研究チームはそうした事情を踏まえ、様々な環境下で自在に動き回れるクモの脚に着目。これを手本として8足走行ロボットを作成した。脚の部分には油圧で制御するベローズ型管を採用し、走行だけでなくジャンプもできるようにした。

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軽量化に向けては素材に樹脂を採用。また、部品の作成では積層造形法の一種である選択的レーザー焼結法(SLS)と呼ばれる手法を採用した。これは熱可塑性樹脂粉末に選択的にレーザー光を照射し、粉体表面を部分的に溶融・再固化することによって隣接する粉体同士を結合し3次元形状を造形するもので、これまではパーツを組み合わせて作っていた複雑な形状でも一度のプロセスで成形できるため、原料だけでなく組み立てコストも節減できるという。

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IPAはクモ型ロボットの試作品を世界鋳型製造・工具・デザイン見本市「Euromold」(11月29日~12月2日)に出展する。

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