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2011/11/16

総合 - ドイツ経済ニュース

ロシアが独とのエネルギー協定に意欲

この記事の要約

ロシア政府がドイツにガス発電所を多数建設することに意欲を示している。ロシアのセルゲイ・シマトコ・エネルギー相が『南ドイツ新聞(SZ)』に対し明らかにしたもので、2国間協定の形でエネルギーパートナーシップを深化させたいとの […]

ロシア政府がドイツにガス発電所を多数建設することに意欲を示している。ロシアのセルゲイ・シマトコ・エネルギー相が『南ドイツ新聞(SZ)』に対し明らかにしたもので、2国間協定の形でエネルギーパートナーシップを深化させたいとの考えを表明した。ドイツの脱原発政策で生じる発電能力の不足を同国発電市場への参入のチャンスとみている。ただ、欧州連合(EU)と独政府はロシアへのエネルギー依存を軽減したい考えのため、同エネルギー相のラブコールは空振りに終わる可能性もある。

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シマトコ・エネルギー相は、ドイツは原発廃止を受け発電所を計10~15基(発電能力で100~120ギガワット相当)を建設する必要があると指摘。「わが国はこれらのプロジェクトに必要な資金を提供する準備がある」との立場を明らかにした。ロシアのエネルギー業界とドイツの発電設備メーカーの協力を得て早ければ半年で計画を作成し、4年後には最初の発電所を稼働できるとしている。SZ紙によると、プロジェクトの規模は計100億~150億ユーロに上るという。

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同提案の背景にはロシアの国営企業ガスプロムを天然ガスの単なる供給会社から発電、販売を含む総合的なエネルギー会社に脱皮させたいという意図がある。同社は独エネルギー2位のRWEとはドイツ、英国、ベネルクス諸国で天然ガス・石炭発電事業を共同展開することで7月に基本合意した。今月10日には小規模エネルギー販売会社Envacom Servie GmbHを買収し、ドイツの一般消費者向けエネルギー販売市場への参入を果たしている。

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ドイツの電力大手各社は現在、財務状況が厳しく、ロシアの資金提供は魅力的だ。だが、ドイツ政府はエネルギーやインフラなど戦略上重要な分野にロシア資本が参入することを警戒しており、ロシアのコングロマリットSistemaがドイツテレコム(電気通信)に資本参加することを以前、阻止した経緯がある。RWEとガスプロムの提携計画に対しては独連邦カルテル庁が疑念を表明している。

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