欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/11/16

企業情報

GATC Biotech AG―成長続く、今年は15%増収見通し―

この記事の要約

ゲノムシーケンス解析サービスで欧州最大手のGATC Biotech(コンスタンツ)が好調だ。同社は企業・研究機関向けに最新鋭の技術を駆使した様々なシーケンシングサービスを提供しており、2010年の売上高は1,300万ユー […]

ゲノムシーケンス解析サービスで欧州最大手のGATC Biotech(コンスタンツ)が好調だ。同社は企業・研究機関向けに最新鋭の技術を駆使した様々なシーケンシングサービスを提供しており、2010年の売上高は1,300万ユーロ、営業利益率は約7%だった。2011年は売上高で15%増の1,500万ユーロを見込む。14日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

\

GATCは1990年、コンスタンツ大学のトーマス・ポール教授(微生物学)によって設立された。動・植物、ヒトのゲノム受託解析サービスに特化しており、世界40カ国に1万社の顧客を持つ。主要顧客は大学・研究機関で、産業界では化学・製薬、食品、農薬業界が主な取引先となっている。現在は、ポール教授の息子2人が経営を引き継いでいる。

\

GATCの社名は「Gesellschaft für Analyse-Technik und Consulting(分析技術・コンサルティング会社)」の略だが、同時にDNAを構成する4種類の塩基であるグアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)の頭文字をとったものでもある。

\

同社は堅実主義の経営に徹しており、「高価な機器や予算を食う研究が本当に必要なのか見極めるため」投資計画では計算ソフトや電卓は使わず、紙と鉛筆で計算するという。10年前には株式公開も目指していたが、市場資金調達のリスクに対する懸念を払しょくできなかったため、土壇場で見送った経緯がある。

\

こうした堅実路線が奏功し同社は設立以来、着実に成長を遂げているが、1度だけ手痛い失敗を喫した。2001年にクローン化サービスを市場投入したものの「研究者は現在に至るまで自分でクローンを作りたがる」ため業務依頼が来ず、通期赤字を計上した。

\

GATCは今年、事業拡大に向け、本社コンスタンツの研究施設を拡大した。来年にはケルンに新たな解析センターを開設し、スタッフ30人を新規採用する予定だ。

\