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2011/11/9

ゲシェフトフューラーの豆知識

業績悪化でもボーナス削減できないケースあり

この記事の要約

企業業績が悪化した場合、ボーナス支給額を削減できることは本誌10月19日号でお伝えした。だが、社内や事業所内でボーナスに関する労使合意(Betriebsvereinbarung)を結んでいる場合はこの原則が必ずしも適用さ […]

企業業績が悪化した場合、ボーナス支給額を削減できることは本誌10月19日号でお伝えした。だが、社内や事業所内でボーナスに関する労使合意(Betriebsvereinbarung)を結んでいる場合はこの原則が必ずしも適用されないので注意が必要だ。ここでは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が10月12日に下した判決(訴訟番号:10 AZR 649/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはコメルツ銀行に2009年5月11日付で買収されたドレスナー銀行に勤務していた行員。同行員が勤務する拠点では取締役会が従業員のボーナス総額を決定した後に個々の行員の支給額を決めることが、労使合意で(下線:筆者)取り決められていた。支給額は月給の1~2カ月分とされていた。

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取締役会は従業員に宛てた08年10月の文書で、08年のボーナスを前年と同水準にすることを通知した。だが、業績が悪化したため、実際の支給額は一人1,000ユーロにとどまった。

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行員はこれを受け、10月の文書で約束した支給額を支払うよう要求して提訴。第1審と第2審はこの訴えを全面的に認める判決を下し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、ボーナス支給額の約束を一方的に破棄することは労使協定の規定に違反すると指摘。支給額を削減するには事業所委員会(従業員の社内代表機関)の承認を得る必要があるとの判断を示した。

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