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2011/11/30

総合 - ドイツ経済ニュース

「改正VW法もEU法違反」、欧州委が独政府を再提訴へ

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は24日、欧州司法裁判所(ECJ)からEU法違反の認定を受けてドイツが改正したフォルクスワーゲン(VW)法は依然としてEU法に抵触しているとして、ドイツ政府を再提訴すると発表した。重要決議の阻 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は24日、欧州司法裁判所(ECJ)からEU法違反の認定を受けてドイツが改正したフォルクスワーゲン(VW)法は依然としてEU法に抵触しているとして、ドイツ政府を再提訴すると発表した。重要決議の阻止に必要な出資比率を20%とする規定を改廃せずに据え置いたことを問題視。EU法で保障された「資本移動の自由」への抵触は現行VW法でも解消されていないと批判している。

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VW法はフォルクスワーゲンを外資による買収から保護する目的で1960年に導入された法律で、欧州司法裁は2007年10月、EU法違反を認定した。具体的には(1)各株主の議決権を出資比率に関係なく最大20%に制限する(2)重要決議の阻止に必要な出資比率が20%と、株式会社法に定める25%より低い(3)連邦(国)とニーダーザクセン州はVW株を保有するかぎり、VWの監査役会にそれぞれ2人の役員を派遣できる――という特殊ルールが資本移動の自由を定めたEU法に違反するとしている。

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ドイツ政府はこれを受け、EU法違反が認定された3点のうち、(1)と(3)の規定を廃止する方向で改正VW法案を作成。08年11月の連邦議会(下院)で成立させた。(2)を残したのは、欧州司法裁がEU法違反を認定したのはこれら3ルールをワンセットで適用することだとの立場をとっているためだ。

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欧州委はこれに対し、3つの規定をすべて廃止することをドイツ政府に求めたが、拒否されたため、再提訴の準備を進めてきた。欧州委は重要決議の阻止に必要な出資比率を20%とするルールを株主の過半数の意思で定めるのであれば問題はないが、法律で制定することは株主の権利を不当に制限するものでEU法違反だとしている。

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