欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/12/14

経済産業情報

ガソリンスタンドの買収認めた判決を最高裁が破棄

この記事の要約

ガソリンスタンド大手Totalによる同業他社店舗買収の是非をめぐる係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は6日、買収を認めたデュッセルドルフ高等裁判所の判決を破棄した。ガソリン・軽油市場で同社を含む大手5社による寡占が […]

ガソリンスタンド大手Totalによる同業他社店舗買収の是非をめぐる係争で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は6日、買収を認めたデュッセルドルフ高等裁判所の判決を破棄した。ガソリン・軽油市場で同社を含む大手5社による寡占が存在しているかが十分に解明されていないと指摘、審理を同高裁に差し戻した(訴訟番号:KVR 95/10)。

\

トタルは2008年12月、墺石油大手OMVの独法人からザクセン州とチューリンゲン州にある計59のガソリンスタンドを買収する計画を明らかにした。これに対し連邦カルテル庁は翌年4月、当該の地域市場ではシェル、アラル/BP、ConocoPhillips(Jet)、ExxonMobil/エッソ、トタルの5社が市場支配的な地位にあり、買収が成立すると5社の寡占が一層進むとして買収を認可しなかった。トタルとOMVはこれを不服として提訴した。

\

前審のデュッセルドルフ高裁は買収を認める判決を下したものの、連邦カルテル庁は判決を不服として連邦司法裁に上告。OMVは係争が長引くと判断してトタルへの店舗譲渡をあきらめ、ポーランドのPKB Orlenに売却した。

\

BGHの裁判官は判決理由のなかで、「デュッセルドルフ高裁は当該地域市場におけるガソリン価格の上下変動から大手5社による寡占はないと判断した」と前置きしたうえで、ガソリン価格の上がり下がりだけでは市場競争が機能しているとは言えないと指摘。生産・精製プラントまで含めた元売り系列の縦割り販売という市場構造のなかでは、価格の透明性は往々にして失われるという背景まで考慮したうえで寡占の有無を判断する必要があるとの見解を示した。

\