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2012/1/18

経済産業情報

分子センサーで細胞毒性の測定が簡便に

この記事の要約

培養細胞を用いた有害性評価で、細胞毒性が簡単に測定できる分子センサーをフラウンホーファーモジュール固体技術研究所(EMFT)が開発した。細胞膜透過性のあるナノ粒子に2種類の蛍光色素を修飾したもので、細胞の生存率に応じて発 […]

培養細胞を用いた有害性評価で、細胞毒性が簡単に測定できる分子センサーをフラウンホーファーモジュール固体技術研究所(EMFT)が開発した。細胞膜透過性のあるナノ粒子に2種類の蛍光色素を修飾したもので、細胞の生存率に応じて発光色が変化するため、色の変化を調べることで化学物質などの毒性を評価できる。

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EMFTが細胞培養を用いた有害性評価に取り組んだ目的は、動物実験を減らすことだ。EMFTによると、ドイツで科学実験に使われる動物の数は2005年の241万匹から09年には279万匹へと増加した。一方、動物実験に対する規制は年々厳しくなっており、培養細胞を使用した細胞毒性試験など、動物実験に代わる、あるいは動物実験の数を削減するための代替法の確立が緊急の課題となっている。

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EMFTが新たに開発したのは、2種類の蛍光色素で修飾した細胞膜透過性のあるナノ粒子だ。一方の蛍光色素は細胞の生存率を測る指標の1つである細胞内アデノシン三リン酸(ATP)に特異的に結びつき、緑色に発光する。もう一方の赤色の蛍光色素はリファレンス色素で、ATPの量に関係なく色は変化しない。細胞内のATPが多いほどセンサーの緑の蛍光色素の発光が強くなり、蛍光顕微鏡で観察すると黄色に近くなる(加法混色)。逆に細胞が死んでATPが失われると緑の色素の発光が薄くなるため、その分赤色が強くなる。この色の具合で毒性が評価できる仕組みだ。

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