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2012/1/18

ゲシェフトフューラーの豆知識

製薬工程の社員をエイズ理由で解雇は妥当

この記事の要約

HIV(エイズウイルス)への感染を理由に製薬会社の社員が解雇された訴訟で、第1審のベルリン労働裁判所が解雇を妥当とする判決を下したことは本誌2011年8月10日号でお伝えした。\ この係争の控訴審(第2審)判決が13日に […]

HIV(エイズウイルス)への感染を理由に製薬会社の社員が解雇された訴訟で、第1審のベルリン労働裁判所が解雇を妥当とする判決を下したことは本誌2011年8月10日号でお伝えした。

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この係争の控訴審(第2審)判決が13日に下された。解雇を妥当とする点で第1審と変わりはなかったものの、判決理由が異なっているため、ここで取り上げてみたい。

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裁判を起こしたのは製薬会社に化学技術助手として採用された男性社員で、仕事場は医薬品工場内のクリーンルームだった。同社員は試用期間中にHIVに感染。その連絡を受けた雇用主は安全性を理由に解雇通告した。

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これを受けて同社員は、HIV感染を理由に解雇することは許されないと主張。また解雇は一般平等待遇法(AGG)で禁じられた障害者差別に当たるとして、解雇無効と補償金支払いを求める訴訟を起こした。

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第1審のベルリン労裁は解雇を妥当とする理由として、原告が試用期間中だったことを挙げた。これに対し第2審のベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所は、病気の社員をクリーンルームでの業務に一切投入しないという被告企業の経営方針は社員に対する誠実な対応を雇用主に義務づけた民法典(BGB)242条の規定に抵触しないと指摘。試用期間中かどうかに関わりなく、解雇は妥当だとの判断を示した。

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裁判官は最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告を認めた。

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