楽天が競合の米Amazonを欧州市場で追撃する。同社の三木谷浩史社長は独『ハンデルスブラット』紙に対し「(Amazonの)米国式の事業モデルが機能しない国は多い」と述べ、欧州の電子商取引市場での首位獲得に自信を示した。特に急成長が期待できる電子書籍分野で攻勢をかける。
\楽天は欧州を成長市場とみなしており、すでに同業の仏Priceministerや英Buy.comを買収。昨年に株式80%を取得して傘下に収めた独Tradoriaについてはこのほど、社名をRakuten Deutschland GmbHへと改めた。Rakuten Deutschlandは出店数が4,400件、取扱商品数が800万種類強で、ドイツ有数の電子商店街となっている。
\欧州の電子書籍市場はまだ規模が小さく、ドイツでは昨年、書籍市場全体の1~2%程度にとどまったとみられる。今年はシェア倍増が見込まれており、三木谷社長は「欧州で電子書籍の市場シェアが近い将来70%になると確信している」と明言した。
\電子書籍と電子ブックリーダーの販売では各国の現地事業者と手を組む方針で、フランスではFnac、ドイツでもMediamarkt/Saturn と提携した。三木谷社長は「経営規模が小さいローカルの流通業者がインターネット時代にあっても生き残り、繁栄できることが私の夢だ」と発言、各国事業を単独で展開するAmazonなどに一線を画す姿勢を鮮明に打ち出した。出版社に対しても敬意を表し、原則として電子書籍の発行には手を広げない意向だ。
\欧州経済の低迷がしばらく続くと予想されることに関しては、楽天が日本経済の低成長のなかで事業を急速に拡大してきた実績を提示し、市場開拓に自信を示した。
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